病気のこと

老眼と加齢黄斑変性は違うのですか?

遠くのものや近くのものを見るとき、眼の中にある「水晶体」がピントを合わせる働きをしています。年齢とともに、この水晶体がかたくなり、ピントを調節しにくくなった状態を「老眼」といいます。「加齢黄斑変性」は網膜に異常が生じる病気であり、これらは異なります。
老眼は老眼鏡を用いることで症状を軽減できますが、加齢黄斑変性では視力低下やゆがみなどの症状を抑えるために治療が必要です。

加齢黄斑変性は治りますか?

現在のところ、異常が起こった網膜を再生させる方法はありません。低下した視力を元に戻すということはできませんが、治療により症状の進行を抑えられることがあります。治療に取り組み、視力を維持していくことが大切です。

症状の進行はどうやって確認できますか?

定期的な通院による検査のほか、見え方のチェックシートを使って自己チェックを行うこともできます。片眼のみに症状がある場合は気づきにくいので、必ず片眼ずつチェックしてください。異常に気づいたら、すぐに病院を受診しましょう。

治療以外にできることはありますか?

加齢黄斑変性のリスクを避けることが大切です。日常生活の中では、禁煙、抗酸化物質の多い食事やサプリメントの摂取、リスクとなる因子(高血圧、高コレステロール、肥満)のコントロールなどがあります。

検査・治療のこと

検査はどのくらい時間がかかりますか?

初診時の検査は、視力検査、単純な眼底検査、光干渉断層計(OCT)をまとめて行い、1日で完了する場合が多いです。造影剤を用いる眼底検査は、初診とは別日に設けられます。
なお、点眼薬によって瞳を開いて検査を行う場合は、検査後4~5時間は車や自転車の運転はできません。

治療は痛くありませんか?

どの治療法でも局所麻酔をしてから治療を行うので、痛みはあまり感じません。レーザー治療の場合はまぶしさを感じることがあります。

いつまで治療が続きますか?

注射薬による治療は時間の経過で効果が薄れるため、1ヵ月~数ヵ月間隔で通院治療を続けます。光線力学的療法は3ヵ月ごとに検査し、必要があれば再治療を行うことがあります。レーザー光凝固術の場合は1〜2週間間隔の通院治療を数回行います。
しかし、病態には個人差がありますので、適切な治療の種類やタイミングは主治医に相談してください。

治療費を助成してくれる制度はありますか?

経済的な負担を軽減するために、医療費助成制度が利用できる場合があります。また視覚障がいの程度によっては、それをサポートしてくれる制度を活用できることもあります。
詳しくは、冊子「眼科で治療を行われる患者さんのための医療福祉支援制度」または「医療費助成や視覚障がい支援のこと」をご参照ください。

監修 杏林大学医学部眼科学 教授 岡田 アナベル あやめ 先生(2022年5月作成)