年をとると体のさまざまな部分に不調が出てくるようになりますが、眼も例外ではありません。なぜ加齢が眼の不調につながるのでしょうか。

眼のしくみと加齢による変化

眼のしくみを簡単に見てみましょう。眼に入った光は、「水晶体(すいしょうたい)」でピントを合わせ、眼の内部を満たす「硝子体(しょうしたい)」を通って、眼の奥にある「網膜(もうまく)」に届きます。そこから「視神経(ししんけい)」を通じて「脳」に伝わり、映像として認識されます。

眼の構造

眼の構造イメージ図
  • 眼に入った光は、「水晶体」でピントを合わせる。
  • 「硝子体」を通って、眼の奥にある「網膜」に光が届く。
  • 「視神経」を通じて「脳」に伝わり、映像として認識される。

ところが、年をとってくると、これらのしくみに不調があらわれてきます。例えば、水晶体が濁る、網膜にある血管がもろくなるといった構造的な変化や、ピントを調整する力が低下するといった機能的な変化などが生じるようになります。また、眼は常に多くのストレス要因(生活習慣の乱れ、喫煙、紫外線や糖尿病など)にさらされています。

加齢によって眼に変化が生じ、回復力が低下した状態にこれらのストレス要因が加わると、本来持っていた視機能が低下し、いわゆるアイフレイルの状態となるのです。

眼を取り巻く環境

眼を取り巻く環境のイメージ図

日本眼科啓発会議. アイフレイル・ガイドブック 2022年版. P1 図1-3より一部改変

監修 筑波大学医学医療系 眼科 教授 大鹿 哲郎 先生(2022年10月作成)